スープの秘密

豚骨スープの『臭み』の原因は「下処理の不足」でも「灰汁をとってない」からでもありません。

以前とんこつラーメンの店を経営している時、レビューによく書かれていたのが「丁寧にとったスープ」、「下処理や灰汁取りを十分にしたスープ」、「獣臭のない下処理のされたスープ」とか書かれていました。

実際は僕のスープ炊きのプロセスで灰汁取りはほぼ最初に一回するだけ。下処理もしません。

スープが臭くなる原因は灰汁でも下処理でもなんでもないんです。
特にラーメンオタクの間で『獣臭』と呼ばれている臭いですが、獣の臭いではありません。
もし獣肉が原因だとすれば。炊いている最中や炊き上がった状態であの臭いがMAXになるはずです。
でも炊き上がったスープって香ばしい『美味しいスープの香り』しかしません。

『臭くないスープ=丁寧に下処理や灰汁取りをしたスープ』と言う幻想は一度もスープ炊きしたことない人の勝手な思い込みです。
では、臭くなる原因は何か?

主な原因は「枯草菌や雑菌の死骸の臭い」と「劣化した油の臭い」と言われています。
これは、ググってもらえれば色々と情報が出てきますのでそちらを参考にしてください。

数年前からこの事実ははっきりしていたのですがだれも公表はしませんでした。
もうそろそろ事実を公開してもいいかなと。

では、なぜ臭くないスープを提供できるのかという理由を説明します。
臭みをださないコツは一つだけです。
『スープの温度管理を徹底する』これだけです。
一般的に10度から60度の温度で雑菌は繁殖します。逆を言えばスープをこの温度帯に晒さないことがポイントとなります。

炊き上がったスープは漉した後すぐにシンクに水を張り撹拌しながら冷ますこと。10度以下になるまで。
約15分でこの温度帯を通過できます。
その後、冷蔵保管もしくは冷凍保管すること。

営業用スープは煮詰まらないように70〜80度を基準に保温し、提供前に手鍋で沸騰させて提供すること。
これだけで臭いは無くなります。

一般的な思い込みだけで色々と公言する人もいますが、『灰汁』は悪者ですか?
嗅いだことありますか?
舐めたことありますか?
灰汁も『旨味の一部』です。日本料理など見た目を重視する場合や雑味を必要としない調理方法では『敵視』されるものですが、ダイナミックな味を作りたい時には強い味方です。

スープ炊きは重要ですが、難しいものではありません。
一般家庭でも『骨』さえ手に入ればあとは水とコンロが美味しいスープを作ってくれます。
コンロも出力が高いほど乳化が早いですが、そもそも『乳化の度合い』と『旨味の度合い』は別物です。
濃度計という道具がありますが屈折率で『乳化度』を測ってくれるのですが、『旨味度』は測ってくれません。
これは、ラーメン店をしてみて初めて気づくことです。
スープの濃さと旨味の量は別の物差しで測らないといけないのです。

極端な話、「水」と「背脂」だけで炊いても『濃度』は出ます。でも美味くはないですよね。ただの水と脂ですから。
濃度を重視するあまり旨味が疎かになるというのも良くある話です。
どこか『旨味度』を測る機械を出してくれるといいのですが。。。

一般的に感覚で旨味を測るには「一杯のスープに何グラムの骨を使ったか」でおおよその旨味度が測れます。
よくいう「ラーメン職人の勘どころ」というやつですね。
でも、調理は化学です。数値化で全部解決します。
僕の場合は一杯あたり⚫︎⚫︎グラムを基準にしています。(教えたいけど教えない。。。笑)
化学といっても化学調味料の話ではないですよ。

化学調味料については僕は肯定派でも否定派でもありません。
しょうがない派です。
キャリーオーバーを考えれば『無化調』はうたえないですし、そもそも「まあ、便利よね」ぐらいにしか思ってないし、こだわると変な偏見主義者に見られるし。。。
ただ、化学調味料でメインの味を作ってる人って調理の楽しみを楽しんでないんだなーと思うくらいです。

あえて名前を出しますが「味の素」で作るより、「羅臼昆布」や「利尻昆布」、「日高昆布」の違いを楽しみながら調理する方が楽しいっす。